〇 HAMLOG E-Mail QSL(hQSL)の開発に至った経緯(2020年4月ベータ版公開)
2000年にQSObankがKDCF(関西デジタル通信フォーラム)からリリースされました。日本初の電子QSLシステムです。
QSObankは、単に電子QSLの送受信や交信の照合をするだけではなく「交信データをお預かりする」というLoTWのようなコンセプトでした。
当時、作者(JG1MOU)は、QSObankのスタッフでした。
LoTWは、2003年頃から運用を開始しているので、QSObankの先見性は素晴らしかったと思います。
これをJARLが導入してくれていれば、今頃はJAのアマチュア無線界は世界をリードしていたかも?・・・と思うと残念であります。
2011年にQSObankが東日本大震災その他の事由により停止した後、「電子メールでJPEG画像を送る簡易的な電子QSLはできないか。」というご提案を複数いただいておりました。
しかし、電子メールを使う場合、電子QSLに興味のない方にとっては迷惑メールでしかありません。
QSObank時代のMLの経験から「こんなもん送られても迷惑だ」と思う方がいることは容易に想像できます。しかも、私に苦情が来そうですのでお断りしていました。
また、eQSLもやっていますが、移動運用が別アカウントというのが面倒で、あるとき常置場所のアカウントのままアップロードしたら相手局から注意のメールが届きモチベーションが下がりました。Hi
そうした中・・・
- 2015年から協議を重ねたJARL電子QSL案が2020年2月の理事会で否決され、実現までさらに時間がかかると思われること。
(作者は2015年から2020年までJARLの電子QSL委員でした。理事会の詳細は知りませんが、可決されていたらhQSLは存在していません。)
- 作者自身が定年退職により時間や気持ちに余裕ができたこと。(引き続き働いて
ますよ。ました。)
- コロナ禍で飲みにも行けないこと。
- HAMLOGユーザーリスト登録局数が微増を続けて13,000局を超え「このデータベースを活用すべき」と考えたこと。(2023年3月現在16,000局超え)
- なんか面白そう、と思ったこと。(←特にこれですね。)
・・・などの理由により、2020年3月末から開発に取りかかりました。
HAMLOGユーザーリストへの登録は、本人が本人の意思により登録していただいています。
この中に「電子メールによる電子QSL受信を希望」という項目を追加すれば、迷惑メール扱いされる恐れという問題はクリアできます。
hQSLでは、希望者はhQSLアプリによりHAMLOGサーバにメールアドレスを登録してもらうこととしました。電子QSL送受信用のメールアドレスです。
hQSLアプリによりHAMLOGサーバへの認証とメールアドレスの登録、電子QSLの送受信、JPEG画像のサイズ調整や交信内容の文字の書き込みができます。
また、QSOデータとの照合によるQSL自動受領チェック機能があります。
紙のQSLカードでは、100枚チェックするのは大変な作業ですが、このソフトによる電子QSL受領チェックは一瞬で完了します。
hQSLによる電子QSLの送信者は、受信者のメールアドレスを知りえませんし、知る必要もありません。
受信者も、送信者のメールアドレスはわかりません。 HAMLOGサーバがアドレス帳の代わりです。
(ただし、通常のメールソフトで受信すれば、当然ながら送信者のメールアドレスは表示されます。)
- hQSLのメリット
- ・QSL交換が早い。電子メールなので、交信中にQSL交換を済ませることもできる。
・HAMLOGの交信データとの照合やQSL受領チェックが一瞬で完了。(これは楽です!)
・交信中にHAMLOG上でコールサインを入力したと同時に、相手局から以前届いた電子QSLを表示させることができる。
・HAMLOGにおける紙QSLカード印刷と同じ感覚で電子QSLを発行することができる。
・好きな写真を使って、好きなレイアウトの電子QSLを発行できる。しかも無料で。
・メールなので、電子QSL以外にテキスト文書としてかなりの量の文章を送ることができる。
・管理人(作者)の費用負担が安価。(サーバ借上料が年額で6,600円)
- hQSLのデメリット
- ・まだまだユーザーが少ない。(開発着手から4年で5,000局を超えました。)
・HAMLOGユーザーリスト掲載局、かつ、hQSL登録済みの局でなければ使えない。
・DXにはまったく使えない。
・メール設定が難しい。(・・・という声を聴く)
・ユーザーが契約しているプロバイダ(メールサーバ)それぞれの仕様や能力に左右されることがある。
・電子QSLには紙QSLほど記載できる情報量は無い。(メール本文を使えば紙QSL以上の量の文章が送れますけど)
・パソコンが無いと見ることができない。
2024年4月追記
私事ですが、令和5年12月5日付けでJARLからQSL問題対策委員会の委員を委嘱されました。
紙QSLの遅延やJARLとしての電子QSLについて協議していくものです。
hQSLについては、もともとJARLの電子QSLが成就するまでの繋ぎと考えています。
FBなシステムができあがればいいですね。
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